VISIONの文脈

ONE VISION , BIG FUTURE

フリーランスを普通に。クラウドソーシングで変わるこれからの働き方

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本書から見えるVISION

1、クラウドソーシングとは「仕事版のグーグル」で、「企業の仕事と人々のスキルの情報を集めて掲載」し、それらをマッチングするサービス。

2、働き手は一分、一時間単位で自らのスキルを企業側に提供でき、企業は、さまざまなアイディア、技術等を享受できる。

3、いづれは、誰でもフリーランス時代が到来し、フリーランスは"弱者"ではなくなる。それにより、生き方の選択肢が広がっていく。

 

吉田 浩一郎
ダイヤモンド社
2014-06-06


 

 

 

21世紀の働き方ってなんだろう?

「ノマドワーカー」に代表されるようにネット環境さえあれば、「いつでもどこでも」働ける時代になり、インターネットやSNSの普及、東日本大震災を経験し「組織」よりも「個」が重要視されるようになった昨今。

「わざわざ会社に行かなくても仕事はできる」「人生、会社だけがすべてではない」など、従来のように「企業に所属することを前提」とした20世紀型の働き方に対して違和感を持ち始めている方も多い。

その状況下、「企業以前に個があり、それぞれの個は、自分の経験やスキルによって所属先を選び、場合によっては組織に所属せずにキャリアを磨いていく」というように、「個」の時代に合った21世紀の働き方を追求するうえで、「クラウドソーシング」の重要性を説くのが本書、「クラウドソーシングでビジネスはこう変わる」。

 

今回は、「クラウドソーシング」とはどういったものなのか、それによって私たちの働き方がどう変わっていくのかについて紹介する。

「もっと自分の時間や友人、家族との時間を大切にしたい」「好きなときに好きな場所で仕事がしたい」「必要最低限生活できるお金を稼げればいい」という方から、ビジネスを動かす側の方まで「働くすべての人」の必読書だ。

  

 

そもそも「クラウドソーシング」って?

クラウドソーシングとはそもそもどういった仕組みなのか?

 

これは、2006年にアメリカの月刊誌「WIRED」の編集者マーク・ロビンソンと、その寄稿者ジェフ・ハウが提唱した造語で、「従業員によって行われている機能を、ウエブ上に開かれた外部ネットワークを通して、世界中の群衆(=クラウド)へ委託(ソーシング)すること」と定義され、海外では既に一般的なワークスタイルとなっている。

 

登録者数をみても日本の大手クラウドソーシングサービスといえるランサーズで28万人、クラウドワークスで13万人に対し、海外の大手odesk では500万人、Elance は250万人とその差は明らか。

出典:海外クラウドソーシングサービスまとめ20選!

 

本書では、クラウドソーシングを「仕事版のグーグルのようなもの」と喩え、「企業の仕事と人々のスキルの情報を集めて掲載」するサービスだと説明している。

 

 クラウドソーシングは、正社員という形で所有するか、あるいは月ごとに派遣社員を契約するかが週流だった企業に対して、一分、一時間単位でオンライン人材を調達するという新たな選択肢を提供。企業は、自社のなかにない、さまざまなアイディア、知識、技術、サービスを、リーズナブルに利用できるようになるのだ。

 

例えば、ある企業が新規事業をスタートし、Webサイトの構築とロゴの制作が必要になった場合、ネット上で不特定多数いる「Webサイトが構築できるエンジニア」と「ロゴ制作のできるデザイナー」を選定し、それぞれに業務を発注するという仕組みで、働き手側も自分のスキルに見合った仕事を探すことができる。

 

つまり、企業は「適切な人がワンクリック」で見つかり、ワーカーは「いつでも自分に合った仕事を探索」できるようになった。

本書では、クラウドソーシングこそが、従来の「企業の枠組みとして最適化されたスタイル」であった「会社を中心として個人を考える」20世紀型の働き方を大きく変え、「個人のライフスタイルやワークスタイルの側から最も効率的な形」で仕事を遂行する「21世紀の新しいワークスタイル」を可能にする仕組みだと説く。

 

 個人が自分の意識で働き方や年収を決める仕組みと言ってもいい。一日何時間働くか、月にいくら稼ぐか、どこに住んで、どこで仕事をやるかー。それを一人ひとりが決めることができるのが、クラウドソーシングだ。

 

 「誰でも」フリーランス時代の到来

「クラウドソーシング」の登場によって、働き手は組織に属さずとも「個」のままで継続的に仕事を受けられるようになり、時間や場所に制約されずに好きな仕事を選ぶ権利を得たと言う。

はたして、今後このような働き方は普及していくのか?

本書では、「フリーランス」のような働き方は、もはや一部のクリエイターやエンジニアだけのものではなく、ごく普通のこととなり、いづれ「誰もが」フリーランスになれると主張。

なぜなら、仕事と働く人を確実に「マッチング」させるクラウドソーシングというサービスが普及していき、ワーカーが継続した収入を得ることが可能になったことで、必ずしも「会社員」として働くことが必須ではなくなるからだ。

 

 ネットがない時代は、「みんなで一カ所に集まって働く」というのが最も効率的な仕事のあり方だった。(中略)ネットが普及したいま、それが最も効率的な仕事の方法ではなくなった。もちろん業務の内容によるが、どこで仕事をしても、いつ仕事をしてもかまわない、いや、むしろそういった自由な形態のほうが生産性もあがる。現在は、そういう仕事が確実に増えている。

 

終身雇用制が崩壊しつつあるいま、多くの企業は従来のように「正社員」を大量に雇い、定年まで「面倒を見る」ことが難しくなってきています。それと同時に、働き手側にスキルと意志があれば居住地や時間、雇用形態を問わない「多様なワークスタイル」を実現できる環境が整いつつあるのだ。

 

しかし、「誰もがフリーランスになれる」からと言って、「会社員」がいなくなるというわけではない。

フリーランスは「好きなときに、好きな場所」で働くことは可能だが、給料の保証がなく組織による福利厚生の恩恵も受けられない。反対に、給料が保証され、手厚い福利厚生もあり、役割も与えられる正社員のような働き方を求める人も多数いるからだ。

つまり、「安全、安心」を重視するなら「正社員」の働き方をし、「自由な裁量」で働きたいなら、「フリーランスの働き方」を選ぶ。今まで常識だった「正社員」という働き方以外の道をクラウドソーシングがつくるという。

 

従来と確実に異なるのは、こうした二つの生き方の価値が等しくなっていくという点だ。正社員になりたいけれどなれなかったらフリーになる。あるいは一人で生きていける強さがある人だけがフリーになり、その自信がないなら会社員を選ぶ。— そのような考え方は、今後古くなっていくと僕は思う。

 

「これからの働き方」というのは、自分が「どのようにして働き」、「どのようにして生きていきたいのか」を考え、より「自分に合ったワークスタイル」を「選ぶ」ことだと説く。

つまり、人生の「ある時期には会社員」であり、「ある時期にはフリーランス」、そして「再び」会社員になるという生き方も可能となり、クラウドソーシングが「働き方の多様化」と「柔軟なキャリア」を実現する装置になるのだ。

 

 

フリーランスはもう、"弱者"ではない。

本書の主張である「フリーランスという働き方も一般的になる」というこれからの時代、会社員は「強者」、フリーランスは「弱者」という従来の価値観は変わらないか?

本書ではその点について、「スキルがあり、クラウドソーシングを使いこなすことができれば」、フリーランスは「弱者」ではなくなると主張。

 

 僕はクラウドソーシングが普及することで、フリーランスが弱者でなくなる世の中が来ると考えている。(中略)フリーランス間の格差は生じるだろう。しかし、会社員が強者であり、フリーランスが弱者であるという構図は崩れるはずで就労形態のヒエラルキーはなくなるはずだ。

 

なぜなら、様々な発注先や案件があるクラウドソーシングを利用することで、フリーランスが複数の発注者と同時並行的な取引が可能になるから。

本書では、弁護士や税理士などを例に、「スキル」を持った人物は、個人事業主であっても「弱者」とみなされることはなく、常時複数のクライアントと取引することができると説いている。

クラウドソーシングのプラットフォームにおいて受注者は、「不当に低い対価」だと思う仕事に関しては受注しないというオプションを持ち、特定の一社に「安く買い叩かれる」というリスクを回避することができる。

また、発注案件の内容が可視化されているので、不当な低賃金案件は淘汰されるようになり、自身のスキルがあれば、「適正だと思う対価」の案件を「複数の発注者」から得ることができるのだ。

複数の発注者から仕事を受注することができれば、「複数の収入源」を得ることができ、仮に低賃金の仕事を依頼されたとしても、無理して受注する必要もなくなる。

本書ではフリーランスが「弱者」でなくなることで、「会社に属すか否か」の選択は個人の自由となり、クラウドソーシングが「生き方の選択肢を広げる」という。

 

安定と安心を価値とするのなら、あるいは心から惚れ込んだ会社があるのなら、その会社の正社員になる道を選べばいい。より自由な労働環境を得たいのなら、特定の会社に属するのではない道を選べばいい。 

 

フリーランスで生きるか、会社員として生きるか、どちらの道を選んだとしても、仮にそこに「収入の差」はあっても「生き方の差」はなくなる。それが、吉田氏の理想とする21世紀型ワークスタイルなのだ。

 

VISION:これからの働き方

クラウドソーシングは日本での歴史はまだ浅いため、フリーランスの社会保障、成果物の著作権、盗用問題など課題は山積みだ。

 

本書では、「クラウドワークス」の考えるその解決策と今後の展開についても述べられている点や、「クラウドワーカー」として既に働いている方のインタビューもあるので、具体的にその働き方がイメージできる。

また、クラウドソーシングがもたらす企業側のメリットについても述べられていて、発注者側としての活用方法も学ぶこともできる。

 

生き方が多様化し、従来のように「いい大学に入って、大企業に入れば一生安泰」という成功モデルが崩壊しつつあるいま、混沌とした21世紀を生き抜き「自分らしく働く」ためにも是非とも読んで欲しい一冊だ。

 

吉田 浩一郎
ダイヤモンド社
2014-06-06


 

 

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