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コンテンツメーカーは必読。「有料コンテンツ」をつくる5つの生成的な価値とその活用法-【〈インターネット〉の次に来るもの】

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無料のコピーコンテンツで溢れる時代

「今後30年を形作ることとなる12の不可避なテクノロジー」について述べられているのが本書〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則。著者はデジタルカルチャー誌「WIRED」の創刊編集長ケヴィン・ケリーだ。

ネットニュースやブログ記事、動画コンテンツなど数々の無料コンテンツが世に出回り、簡単に複製できるようになっている今。著者は、コピーできないコンテンツこそ「希少化して価値を持つ」と説き、それを「生成的なもの」と呼んでいる。

 

無料は良いことだが、それにお金を払うということは、さらに良いということだ。私はそうした性質を「生成的なもの」と呼ぶことにする。 

 

今回は、本書からブロガーやメディアづくりに携わる方など、コンテンツの生産者にとって重要な関心項目である「無料コンテンツ」を「有料化する手段」と個人ブロガーやメディアづくりへの活用の仕方について考えていく。

 

 

「無料より優れた」コンテンツを作る5つの生成的なものとは?

「生成的な資質」は「無料のコピーに価値を与え、値段を付けて売れるもの」にすると著者は説く。それには以下の要素が挙げられる。

 

1、「即時性」

2、「解釈」

3、「実体化」

4、「支援者」

5、「発見可能性」

 

なお、本書では、8つの生成的価値が提唱されているが、ここでは、「個人ブロガー」やこれから「メディアづくりを行う人」向けに有用な内容を抜粋して紹介する。

 

1、即時性を付加する

ある商品やサービス、作品などが発表された時点でユーザーの手元に届く場合に、「生成的な価値」を生むと言う。

映画作品の公開初日にお金を払って、映画館に観に行くことがその例。時間が経てばその作品は無料となったり、レンタルやダウンロードでほぼタダとなるはずなのに、だ。

 

本質的には彼らは映画にお金を払っているのではなく(無料でも観られる)、即時性にお金を払っているのだ。

 

また、ハードカバーの本は「即時性を提供」するからより値段が高い。つまり、同じ商品でもそれを最初に手に入れるという場合には、得てして「追加料金」が課されるということを意味しているいう。

僕のような弱小個人ブログやWebメディアでは少し非現実的かもしれないが、「一部の重要な記事や内容の濃い記事の投稿初日〜数日は有料化」することで、 「即時性」を生かしたコンテンツづくりができるだろう。このアイデアは特に読者の多い著名ブロガーや大手メディアに特に有効な手法になるかもしれない。

弱小メディアは読者が相応に増やすことを優先し、タイミングを見て即時性を生かしたコンテンツを作ろう。

 

 

2、解釈を付加する

無料のコピー商品にガイドやサポートがつくこと、価値のあるものになるという。

本書の例では、レッドハットやアパッチなどのソフトウェア企業を挙げ、こうした企業はフリーソフトの使い方の指導やサポートするビジネスで高収益をあげている。

無料のコンテンツに対して説明や使い方などの「解釈」を提供することで、「生成的なもの」になるのだ。

 

それがどんな意味を持ち、何ができて、どう使えばいいのかという解釈が高価なものになる。

 

オンライン動画スクールを思い浮かべるとイメージしやすいだろう。例えば、無料でデザインやプログラミング、マーケティングなどの授業が観られるスクーでは、デザインやプログラミングのスキル習得を目指す人の為の有料プログラムが提供されている。

このプログラムでユーザーは、主に過去に放送された無料動画を基に編集されたカリキュラムを受講できるだけでなく、講師からのアドバイスも受けることができる。これは、無料のコンテンツに対して著者の言う「解釈」を付加することで無料コンテンツを有料化している好例と言えるだろう。

自身のスキルを棚卸しした上で、無料コンテンツを編集し、ガイドやサポート付きの「有料コンテンツ」として提供できないか考えてみよう。

実績のあるブロガーなら、個人ブログ内で「人気ブロガーになるためのプログラム」を提供して、「チャットでサポート機能」もつけるだけで、生成的な価値を創出できるだろう。

 

  

3、実体化する

無料コンテンツに「身体性」を付加することで、価値が加わる。

デジタルコピーには実体がない。ハードカバーの本には電子書籍にはない味わいがあるし、オンラインゲームは一人で遊ぶだけでなく、仲間と同じ部屋でプレイしたり、屋外で楽しむイベントに価値を感じる場合も多い。

こうした例は、「触られない世界よりも実体化された世界」が価値を持つことを示している。

また、ミュージシャンや作家が「身体性」を付加することにより、価値を生み出していることも同様だという。

 

実際に現在は、多くのバンドが楽曲販売ではなく、コンサートで稼いでいる。この公式は、ミュージシャンだけでなく作家の世界でも普及し始めた。本は無料だが、身体性を伴う公演は高くなるのだ。

 

実際に、多くのミュージシャンやアイドルは楽曲配信ではなく、ライブで稼いでいるケースが増加していると言うのは良く耳にする話だ。

「顔出ししていない一流ブロガー」の場合、「ここだけ顔出し!トークイベント」を開催すれば多くの入場料を得ることができるかもしれない。

実績に乏しいブロガーでも、AKBがブレイクしたように「会いに行けるブロガー」というコンセプトで、リアルとデジタルを連動した新しいブロガーのスタイルを確立すれば、それは「身体性」を伴っているので、有料コンテンツ化できる可能性もあるだろう。

「身体性」はコンテンツの有料化にとって、多くの可能性を秘めているのだ。

 

4、支援者をつくる

熱心なファンや視聴者をつくり出すことは、大きな生成価値を創出する。

熱狂的なファンはアーティストやミュージシャン、作家、役者などに、感謝の印をもって報いたいと思っている。そうすることで、ユーザーは自分が高く評価する人々とつながることができるからだ。

例えば、イギリスの人気ロックバンドレディオヘッドは、2007年のアルバム『イン・レインボウズ』を前代未聞の価格一任性(0円〜)で販売した。その結果一つのアルバムあたり平均で2.26ドルが支払われ、それ以前に出したアルバムの総売上を上回る収入があったという。

これは、「感謝を示すファンとアーティストの間に流れる捉えどころのない結びつきは確実に価値がある」ということを示していると著者は説いている。

 

単に手に触れられるモノではなく喜びを得たいためにオーディエンスはお金を払う。

 

レディオヘッドのファンの「感謝の印」は、ファンの「応援の印」とも解釈することができるだろう。

一流のブロガーは、ブログで稼いでいないことが多い。

blog.livedoor.jp

 

しかし、ブログ(無料のコンテンツ)で自分の考え方や生き方を表明する、あるいは知識やスキルを披露して、「共鳴」や「魅了」をつくりだすことでファンを生む。そして、次第に「応援」してくれるようになる。

ここから得られるヒントは、「個人(やグループ)をコンテンツ化」させることに成功すれば、ファンによる「応援の総量」が「対価」になると言えるだろう。

それは、サロンやの参加者であったり、企業からのタイアップかも知れない。ファンが多ければ、多いほどその対価は多くなる。

したがって、「自分というコンテンツ」を如何に応援してくれる人を生み出すか、そして増やすかが重要になる。これをするには、当たり前だが、自分というコンテンツにオリジナリティを持たせ、それに磨きをかけていくしかないだろう。

 

5、発見可能性を高める

これは、多くの創作物が集まることで生じる価値のこと。

毎日のように爆発的な数のコンテンツが作られる中で、見つけてもらうことはどんどん難しくなっている。そして、どんなに高価な作品でも、見てもらえなければ無価値であり、発見してもらうこと自体に価値があるという、著者は言う。 

例えば、アマゾンやネットフリックスが人気なのは、大量のコンテンツがあり、そこに大量のレビューやレコメンド機能があるおかげで、他では発見できなかった素晴らしい作品が見つかる。

 

それらは、どこかに無料であるのかもしれないが、基本的には見失われ埋もれたままだ。こうした事例では、あなたは作品のコピーではなく、発見可能性にお金を払っている。

 

今では量産されたブログ内のコンテンツを「note」や「kindle」内であるテーマで括ってまとめ直し、販売するというブロガーもいる。

埋もれてしまっている多くのコンテンツの中で、ユーザーが興味があるであろう記事を集め「有料コンテンツ」として販売できることは「発見可能性」という付加価値によって生み出されたものと解釈することができる。

キュレーションメディアが流行しているのも、こうした「発見可能性」に価値があることは言うまでもない。

自身のメディアやブログを見直し、「発見可能性」を高める努力をし、付加価値を創出しよう。

 

まとめ

ここでは、既に見聞きしたことがあるでろう事柄を紹介してしまったかも知れない。

しかし、こうして体系立てて情報を整理できたことで、僕自身もコンテンツ制作における方向性を再認識することができた。なので、きっとこれを読んで頂いたコンテンツメーカーの方にもきっと役に立つと思う。

また、本書はVRやAIの最新テクノロジーや拡大するシェアリングエコノミーについてなど、12個のテーマに沿いながら「ネット社会における不可避な未来」とWIRED創刊者である「ケヴィンのビジョン」が見えてくる良書だ。

これを機会に是非手に取ってほしい。

 

 

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